月桃精油と精油の薬理作用

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月桃精油の成分とそれを含む他の植物精油を比較して月桃精油の薬理作用を類推し検証するためにまとめてみます。上記の参考文献を参照しながら個人的な推測を含めておりますので内容の真偽についてはこの点を考慮頂きたいと思います。
(尚、参考文献は以下のとおりです。「アロマテラピー・精油の中の分子の素顔」スー・クラーク著、五百川仁、関田節子、野中潤一訳、株式会社じほう;「エッセンシャルオイル効能と療法」ジョイ・ボウルズ著、宮田攝子訳、産調出版株式会社;「アロマテラピー検定テキスト」日本アロマ環境協会;ナードアロマテラピー協会三上会長による「オープンセミナー」の教材および講義メモ 、日本エステル社のサイト)
1.モノテルペン
モノテルペン類は化学式C10H16で表される不飽和炭化水素で、多くの精油に含まれます。
分子量が小さく軽いためトップノートの香り成分となっています。
■共通する主な作用
・空気を清浄にして感染を防ぐ作用
・弱い殺微生物作用
・全身を刺激する作用
・経皮吸収による鎮痛作用(p-シメンが含まれる場合)
1−1. α−ピネン(α-pinene)
アルファピネン
アルファピネンは植物精油全般に含まれているテルペン類の成分です。月桃における含有量は2〜8%です。また見方を変えるとアルファピネンとベータピネンの合計が10%前後になっています。
単離したシトラール(アルデヒド:柑橘系の精油に含まれている)は皮膚に対して刺激性、感作性を示すことがあり、生殖障害との関連性も示唆されています。
レモン精油にはシトラールが5%含まれていますがアルファピネンおよびd-リモネンが存在するとシトラールの危険性が顕著に弱まることが知られています。
月桃精油には抗菌効果や防虫忌避効果、抗ウィルス効果を示す成分が多種類含まれていますが、アルファピネン等が存在することで安全性を保てています。
月桃精油は葉より抽出しますが香りは草原のようであり、森林のようであり、フローラルにも感じるものです。この中で森林のように感じるファクターのひとつがアルファピネンではないかと思います。月桃精油の芳香は香りを嗅いだ時の心身のコンディションによっていろいろな感じ方を与えてくれます。
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類別 |
テルペン類 (モノテルペン) |
| 月桃精油中の含有率 | 2〜8% |
| 香り | 樹脂様またはパイン様の香り |
| 性質 |
水、グリセリンに不溶。アルコール、油可溶。無色 |
| 作用 | 強壮 |
| 注意 | ピネンを豊富に含む精油を吸入すると喉に不快感を催すことがある。 |
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アルファピネンを含む 他の植物精油 |
サイプレス、ジュニパー、ブラックペッパー、フランキンセンス、ユーカリ、ローズマリー |
α−ピネンは多くの植物、精油界に分布します。
d体はギリシャ産テレビン油(95%)、ロシア産テレビン油(80%)ヒノキ油(70%)台湾ヒノキおよびクスノキの精油中に存在します。
ℓ体はフランス産テレビン油(90%)、スペイン産テレビン油(90%)、オーストラリア産テレビン油(96%)クロマツおよびアカマツの精油中に存在します。
dℓ体はレモン、オリバナム、コリアンダー、クミンなどの精油中に存在します。
(参考文献:香りの総合事典:フレグランスジャーナル社)
α−ピネンを精油中に含有する植物には次のようなものがあります。
| 植物名 | 含有率 | 備考 |
| 月桃 | 2〜8% | 葉 |
| サイプレス | 50% | 葉付枝 |
| システ | 30〜50% | 葉付枝 |
| マートル | 20〜50% | 枝 |
| ローズマリー | 10〜30% | 花咲全草 |
| ユーカリグロブルス | 10% | |
| レモン | 2% | |
| ニアウリ | 10% | α−ピネンとβピネンの合計 |
| パイン | 30% | |
| アンジェリカ | 20% | |
| コリアンダー | 5% |
α−ピネンには一般的に抗感染作用、組織再生作用、抗炎症作用、鬱滞除去作用等に加えて強壮作用の働きがあるといわれています。
1−2.β−ピネン(β-pinene)
β−ピネンは各種のテレビン油、ナツメグ、レモン、コリアンダーなどの精油中に存在します。
(参考文献:香りの総合事典:フレグランスジャーナル社)
月桃精油中にβ−ピネンは1〜7%存在します。(当社分析)
β−ピネンを精油中に含有する植物には次のようなものがあります。
| 植物名 | 含有率 | 備考 |
| 月桃 | 1〜7% | |
| ニアウリ | 10% |
α−ピネンとβピネンの合計 |
| ネロリ | 12% | |
| ベルガモット | 7% | |
| ライム | 12% | |
| レモン | 11% | |
| パイン | 30% |
β−ピネンにはα−ピネンと同様に一般的に抗感染作用、組織再生作用、抗炎症作用、鬱滞除去作用等に加えて強壮作用の働きがあるといわれています。
1−3.リモネン(limonene)
リモネンは代表的単環式モノテルペンで光学異性体としてd体とℓ体があります。(さらに光学的不活性なラセミ体があり、ジテンペンといいます)
d体はレモンオイル、オレンジオイル、ライムオイルなどに存在し、ℓ体はハッカ油、スペアミントオイル、スターアニスオイルなどに存在します。(ラセミ体はテレビンオイル、樟脳油、フェンネルオイルなどに存在します)
d-リモネンはオレンジ様の香気があり、石鹸、化粧品などの原料に使われています。また食品用として柑橘系のフレーバーにも使われています。
(参考文献:香りの総合事典:フレグランスジャーナル社)
月桃精油中にリモネンは〜5%存在します。(当社分析)
リモネンを精油中に含有する植物には次のようなものがあります。
| 植物名 | 含有率 | 備考 |
| 月桃 | 〜4.7% | 葉 |
| セロリ | 70% | |
| キャラウェイ | 40% | ケトン類のカルボンを50%含有。要注意 |
| レモン | 70% | |
| レモングラス | 6% | |
| レモンバルベナ | 16% | |
| マンダリン | 86% | |
| マートル | 14% | |
| ネロリ(アブソリュート) | 8% | |
| ニアウリ | 8% | |
| スイートオレンジ | 95% | |
| パイン | 22% | |
| タンジェリンオレンジ | 95% | |
| ベルガモット | 40% | |
| シトロネラ | 10% |
リモネンには一般的に抗感染作用、組織再生作用、抗炎症作用、鬱滞除去作用等に加えて 肝臓細胞再生作用、腎臓機能促進作用等があるといわれています。
1−4.α-テルピネン(α-terpinene)、γ−テルピネン(γ-terpinene)
テルピネンにはα、β、γとありますがβ-テルピネンの資料が少ないのでα-テルピネンとβ-テルピネンについてまとめます。
| α-テルピネン | β-テルピネン | γ-テルピネン | |
| 比重 | 0.837 | 0.838 | 0.847 |
| 沸点 | 173〜175℃ | 173〜174℃ | 182℃ |
| 引火点 | 46℃ | 51℃ | |
| 危険性 | 有害性・可燃性 | 刺激性・可燃性 |
比重、沸点、引火点について資料がありました。少しずつ異なりますが、それぞれ近い値ではないかと思います。構造式で比較すると二重結合の位置が異なります。
それぞれ(αおよびγ)を含む代表的な精油は下表のとおりです。
月桃精油中にα-テルピネンは痕跡程度(0.03%)存在します。(当社分析)
α-テルピネンを含む精油
| 植物名 | 含有率 | 備考 |
| 月桃 | 0.03% | 葉 |
| レモン | 9% | |
| マジョラム | 14% | |
| マンダリン | 7% | |
| ネロリ(アブソリュート) | 5% | |
| ティートリー | 10% | |
| ブラックペッパー | 10% |
月桃精油中にγ-テルピネンは極微量(0.12%)存在します。(当社分析)
γ-テルピネンを含む精油
| 植物名 | 含有率 | 備考 |
| 月桃 | 0.12% | 葉 |
| ティートリー | 25% | |
| コリアンダー | 5% | |
| マンダリン | 20〜25% | |
| タイム | 15% |
α-テルピネン、γ-テルピネンともに一般的に抗感染作用、組織再生作用、抗炎症作用、鬱滞除去作用、静脈強壮作用等があるといわれています。
1−5.パラ−シメン(p-cymene)
シメンにはp-シメン、m-シメン、o-シメンとあります。構造式でみると枝分かれの仕方が異なりますが分子式ではいずれもC10H14です。アロマテラピーで使う植物精油の成分としてはp-シメンがほとんどであると思われます。私が読んだことのある文献では他の2種類を見たことはありません。
| p-シメン | m-シメン | o-シメン | |
| 比重 | 0.854 | 0.8610 | 0.8766 |
| 沸点 | 176〜178℃ | 175.14℃ | 178.15℃ |
| 引火点 | 47℃ | ||
| 危険性 | 可燃性 |
月桃精油中にp-シメン10%前後存在します。(当社分析)
p-シメンを含む精油
| 植物名 | 含有率 | 備考 |
| 月桃 | 1〜10% | 葉 |
| タイム | 30% | チモールタイプに多く存在する |
| マウンテンセイボリー | 25% | チモールとイソチモールを多く含む |
p-シメンには一般的に鎮痛作用 がありますが皮膚に刺激が強いのでタイムやマウンテンセイボリーのようにp-シメンを主要成分とする精油は低濃度での使用が適しています。
p-シメンはマウンテンセイボリーの備考に出てくるチモールやイソチモール(カルバクロール)の前駆体です。構造や性質に類似するところがあり、精油中で一緒に存在することが多いようです。月桃にもチモール、イソチモールが微量ですが存在します。
p-シメンを主要成分とするホワイトタイムの特徴を参考までに下記に記します。
(株式会社レプリコン ジャパンのサイトより引用)
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特徴:タイムは大変効能のあるオイルです。関節や筋肉痛などのマッサージに使われます。疲労や衰弱からの回復や、風邪や呼吸器系疾患のためのスチーム吸入剤としても良く働くといわれています。上記の働きは、3つのタイム(ワイルドタイム、レモンタイム、ホワイトタイム)に共通しています。肉料理、魚料理、野菜料理、卵料理、パスタ料理、ソーセージ、スープ、サラダ、クリームチーズなど様々な料理の香り付け、味付けに使われています。蜜蜂はタイムを好み、シシリー島の蜂蜜は何百年に渡りタイムから取れた蜂蜜として広く知られています。古代ギリシャでは、タイムをお香として使用していました。タイムは南ヨーロッパと地中海地方がオリジナルの分布地域で、今は北アメリカやアジアでも栽培されています。タイムの主成分はフェノール類のチモールです。
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(以下準備中)
1−6.カンフェン(camphene)
1−7.β−ミルセン(β-myrcene)
1−8.シス−β−オシメン(cis-β-ocimene)
1−9.α−フェランドレン(α-phellandrene)
1−10.β−フェランドレン(β-phellandrene)
1−11.サンテン(santene)
1−12.δ−3−カレン(δ-3-carene)
1−13.α−ツジェン(α-thujene)
1−14.テルピノーレン(terpinolene)
1−15.1,3,8−パラ−メンタトリエン(1,3,8-p-menthatriene)
2.セスキテルペン類
2−1.βカリオフィレン
2−2.カマズレン
2−3.ビサボレン
3.モノテルペンアルコール類
3−1.メントール
3−2.リナロール
3−3.ゲラニオール
3−4.ネロール
3−5.シトロネロール
3−6.テルピネオール
3−7.テルピネンー4−オール
3−8.ボルネオール
ボルネオールを含む精油にはローズマリー、ラベンダー、シトロネラなどがあります。月桃での含有量はサンプルによりまちまちで、ほとんど検出されないこともあれば20%前後まで検出されることもあります。しかしこのような違いがあるにもかかわらず月桃精油の香りに違いがないので植物の不思議さを感じます。(香料会社の技術者ならば違いを感じ取れるのかもしれませんが私にはわかりませんでした。)品種と収穫場所はは同一ですので収穫する季節の違いが原因ではないかと思われますがはっきりしたことはわかりません。
第一回と第二回で紹介した1,8シネオールとアルファピネンは常温でほぼ透明な液体ですがボルネオールはザラメのような固形(結晶)です。月桃精油を構成する成分のほとんどは常温で液体ですが固体のものは数種類ありボルネオールはその中のひとつです。
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類別 |
アルコール類 (モノテルペンアルコール) |
| 月桃精油中の含有率 | 痕跡〜20% |
| 香り | 固形であり、他の成分のような強い香りはないが、あえて表現するとすーっとしたものを感じる |
| 性質 |
水に不溶。アルコール、油、有機溶剤に可溶。半透明の結晶(常温) |
| 作用 | 胆汁分泌促進(解毒) |
| 注意 | 比較的安全 |
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アルファピネンを含む 他の植物精油 |
ローズマリー (2%)、ラベンダー(2.5%)、シトロネラ(6%)、シルバーファー(1%)、アンジェリカ(1%)、レモングラス(1%)、ヘリクリサム(0.2%) |
参考:精油に含まれている代表的なモノテルペンアルコールの例
ボルネオール、シトロネロール、フェンキルアルコール、ゲラニオール、イソプレゴール、ラバンジュロール、リナロール、
ムryテノール、ネロール、テルピネオール、テルピネン-4-オール
(以下準備中)
3−9.ラバンジュロール
4.セスキテルペノール類
4−1.α−ビサボロール
4−2.ネロリドール
4−3.パチュロール
4−4.サンタロール
4−5.ファルネソール
1,8シネオール
1,8シネオールは樟脳のような爽快で清涼な香りを放ちます。月桃精油の成分の中での含有率はそれほど多くありませんが、月桃のすっきりした香りを形成するのに影響力の大きい特徴成分となっています。
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類別 |
オキサイド類 |
| 月桃精油中の含有率 | 5〜15% |
| 香り | 清涼で爽快な香気。カンファーに似た香り。 |
| 性質 |
水に微溶、アルコールに可溶 |
| 作用 | 抗ウィルス作用、抗菌作用、抗炎症作用、去痰作用、抗炎症作用 |
| 注意 | 比較的安全であるが、皮膚刺激性があるので頻繁に使用すると皮膚を乾燥させることがあります。 |
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1,8シネオールを含む 他の植物精油 |
ユーカリ、ローズマリー、ティートリー、ペパーミント、カユプテ、ワームシード |
オキサイド類
精油中のオキサイドは環状構造の中に酸素原子を持つもので、アルコールに由来するものが多くあります。オキサイドの名称はもとのアルコールにオキサイドを付け加えた名称になります。(1,8シネオールの名称は例外的です)
例:リナロール→リナロールオキサイド
1,8シネオール以外で植物精油に含まれているオキサイドの例
| ビサボロールオキサイド | |
| ローズオキサイド | |
| リナロールオキサイド | 月桃精油に微量検出されることがあります。(1%未満) |
| スクラレオールオキサイド | |
| カリオフィレンオキサイド | 月桃精油に極微量検出されることがまれにあります。(痕跡) |
| ピネンオキサイド |
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